本記事には広告(Amazonアソシエイト・楽天アフィリエイト)を含みます。
こんな場面で、選び方に迷っていませんか
通勤電車の音がうるさい。カフェで作業したいが周りの話し声が入る。在宅勤務で家族の生活音が気になる。ノイズキャンセリングイヤホンを調べはじめると、3,000円台から3万円台まで並んでいて、どこに線を引けばいいのか分かりません。
「高いほうが静かになる」と考えるのが自然です。この記事は、その前提を数字で確認します。
結論を先に書きます。今回の6機種は価格が3,280円から35,839円まで約11倍の差があります。それに対して、遮音性の検証スコアの差は4.69から4.90までの0.21ポイントしかありませんでした。
そして5,990円のAnker Soundcore P31iは4.84。35,839円のAirPods Pro 3(4.90)との差は0.06ポイントです。差額は29,849円あります。
では高いモデルの価値はどこにあるのか。それは音質でした。この記事はその話になります。
先に、この記事で使う数字の性質を説明します
参照した比較検証は、ダミーヘッドマイクを使って電車の走行音を測定しています。そのうえで「遮音性の高いスコア4.5以上のモデルは電車の走行音を平均20dB前後低減した」と報告されています。
ただし製品ごとのdB値は公開されていません。公開されているのは5点満点の項目別スコアです。この記事ではそのスコアを比較軸に使いますが、絶対値ではなく相対的な順位として読んでください。20dBという数字は、4.5以上のグループがどの程度の効果なのかを掴むための目安です。
メーカーが出す「最大○dB低減」という表記も参考になりません。理由は、各社で扱いが揃っていないからです。今回の6機種では、EarFunは「QuietSmart 3.0で最大50dB」と書き、Xiaomiは42dBという数字が報じられています。一方でAnkerもAppleも、公式ページにdB値を載せていません。測定条件も公開されていないため、社をまたいだ比較には使えない数字です。
だから第三者が同じ条件で測った結果のほうが判断材料になります。
こういう人には、この記事はあまり向いていません
ヘッドホン型を探している方。 今回は完全ワイヤレスイヤホン(カナル型)だけを扱います。一般にヘッドホン型のほうが物理的な遮音で有利です。静かさを最優先し、持ち運びを妥協できるならヘッドホンを検討したほうが早いはずです。
人の話し声を完全に消したい方。 ノイズキャンセリングは、電車の走行音やエアコンのような低く連続した音に効きます。話し声のような不規則で高い音は原理的に消しにくく、どの製品でも期待どおりにはなりません。
音質を第一に考える方。 ノイズキャンセリングは音の経路に処理を挟みます。同じ価格帯なら、ノイキャンなしのモデルのほうが音質に予算を割けます。
ノイズキャンセリングの仕組みは2つあります
名前を覚える必要はありませんが、両方が効いているという理解は役に立ちます。
ANC(アクティブノイズキャンセリング) は、外部の騒音と逆位相の音を出して打ち消す仕組みです。電子的な処理で、低い連続音に強く効きます。
PNC(パッシブノイズキャンセリング) は、耳栓と同じ原理です。本体とイヤーピースの密閉性で物理的に音を遮ります。
重要なのは、イヤーピースが耳に合っていないとPNCが働かないことです。そしてPNCが働かないとANCの効果も落ちます。3万円の製品でもサイズの合わないイヤーピースを使えば、5,000円の製品に負けます。付属のサイズを一通り試すことは、機種選び以上に効く作業です。
選ぶときに見るべき基準は4つ
1. 遮音性(ただし6,000円でほぼ上限に近づく)
後述の表のとおり、スコアは4.69〜4.90に密集しています。5,990円のP31iで4.84に達しているため、遮音性だけを目的にするなら高価格帯まで上げる必要は薄いという結果です。
2. 音質(ここが価格に比例する)
音質スコアは3.60から4.59まで、0.99ポイントの幅があります。遮音性の0.21と比べて約5倍の広がりです。しかも価格に沿ってほぼ単調に上がっています。予算を増やして確実に得られるのは音質という関係が見えます。
3. 連続再生時間(最上位が最短という逆転がある)
今回で最も高いBose(30,280円)は、最大6時間で今回最短でした。最も安いP31i(5,990円)はANCオンで8時間・オフで10時間です。価格と電池は連動しません。
4. 対応コーデック(9,990円が3万円台を上回る)
高音質で聴くにはLDACやaptX Losslessへの対応が必要です。今回、最も多くのコーデックに対応していたのは9,990円のEarFun Air Pro 4でした。AirPods Pro 3はAACとSBCのみです。
比較表
| 製品 | 価格 | 遮音性 | 音質 | 使い勝手 | 連続再生(単体) | 重量 | コーデック | 防水 | リンク |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Xiaomi REDMI Buds 8 Lite | 3,280円 | 4.69 | 3.60 | 4.79 | 最大8時間 | 約4.5g | SBC/AAC | IP54 | Amazon / 楽天 |
| Anker Soundcore P31i | 5,990円 | 4.84 | 3.77 | 4.79 | 8時間(ANC)/10時間 | 約4.4g | SBC/AAC | IP55 | Amazon / 楽天 |
| EarFun Air Pro 4 | 9,990円 | 4.77 | 4.07 | 5.00 | 7.5時間(ANC)/11時間 | 5.2g | SBC/AAC/LDAC/aptX Lossless/LC3他 | IPX5 | Amazon / 楽天 |
| Anker Soundcore Liberty 5 | 14,990円 | 4.81 | 4.15 | 4.85 | 8時間(ANC)/12時間 | 約5.2g | SBC/AAC/LDAC | IP55 | Amazon / 楽天 |
| Bose QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代 | 30,280円 | 4.90 | 4.59 | 5.00 | 最大6時間 | 7.7g | SBC/AAC/aptX Adaptive | IPX4 | Amazon / 楽天 |
| Apple AirPods Pro 3 | 35,839円 | 4.90 | 4.50 | 4.65 | 8時間(ANC)/10時間 | 5.55g | AAC/SBC | IP57 | Amazon / 楽天 |
スコアは5点満点の検証値です。価格は調査時点の最安値で、セール時にはこれより下がります。
この表を価格順に眺めると、遮音性の列だけがほぼ横一線であることが分かります。
商品ごとの解説
Xiaomi REDMI Buds 8 Lite
3,280円。2026年1月15日発売。片耳約4.5g、最大8時間、SBC/AAC、IP54、Bluetooth 5.4。ドライバーは12.4mmです。
遮音性4.69は今回で最も低い数値ですが、4.5以上のグループに入っています。検証の記述に沿えば、電車の走行音を平均20dB前後低減する水準です。3,280円でそこに到達しているのは価格性能として際立っています。
音質スコアは3.60で今回最下位でした。ノイキャンだけが目的で、音質にこだわらないという割り切りができる人には、これ以上安い選択肢を探す必要がないという製品です。
マルチポイント接続と外音取り込みにも対応します。なお42dB低減という数字が報じられていますが、前述のとおり社をまたいだ比較には使えない数字です。
Anker Soundcore P31i
5,990円(メーカー公式価格)。片耳約4.4gで今回最軽量。ANCオンで8時間・オフで10時間、ケース込みで40時間・50時間。SBC/AAC、IP55、Bluetooth 6.1。
この製品が今回の焦点です。遮音性4.84は、35,839円のAirPods Pro 3(4.90)と0.06ポイント差、30,280円のBose(4.90)とも同じ差です。5,990円という価格で、上位機の遮音性能の大半に届いています。
音質スコアは3.77で、Bose(4.59)とは0.82ポイントの開きがあります。ここが価格差の中身です。
Ankerは公式ページにdB低減値を記載していません。数字を出さない姿勢自体は、測定条件を公開できないなら妥当な判断と言えます。
静かさが目的で、予算を抑えたいという条件なら、今回では最も合理的な選択になります。
EarFun Air Pro 4
9,990円。2025年5月16日発売。5.2g、ANCオフで11時間・ケース込み52時間、ANCオンで7.5時間。IPX5、Bluetooth 5.4。
特筆すべきはコーデックの対応範囲です。SBC、AAC、aptX Adaptive、aptX Lossless、LDAC、LC3。今回で最も広く、35,839円のAirPods Pro 3(AAC/SBCのみ)や30,280円のBose(aptX Adaptiveまで)を上回ります。 aptX Adaptive経由で24bit/96kHzのハイレゾに対応します。
使い勝手のスコアは5.00で、Boseと並んで満点でした。遮音性4.77、音質4.07。1万円以下で全項目が高い水準にまとまっています。
メーカーは「QuietSmart 3.0で最大50dB低減」と表記しています。第三者の検証では遮音性4.77で、50dBを謳うこの製品がP31i(dB非公表・4.84)を下回っているという結果でした。メーカーのdB表記を鵜呑みにできない実例です。
音質もコーデックも欲しいが3万円は出せないという場合の中心的な候補です。
Anker Soundcore Liberty 5
14,990円(メーカー公式価格)。片耳約5.2g、通常モードで12時間・ケース込み48時間、ノイズキャンセリングモードで8時間・32時間。SBC/AAC/LDAC、IP55、Bluetooth 5.4。ワイヤレス充電に対応します。
遮音性4.81、音質4.15、使い勝手4.85。全項目で平均以上にまとまった製品です。「ウルトラノイズキャンセリング 3.5」と呼ばれる世代で、Liberty 4の2.0から更新されています。
P31i(5,990円)との差を考えると、遮音性は4.84→4.81でわずかに下、音質は3.77→4.15で0.38上、LDAC対応が加わります。9,000円の上乗せで音質とLDACを買うという関係です。
ただし同じ観点でEarFun Air Pro 4(9,990円)と比べると、音質は4.07→4.15で0.08差、コーデックはEarFunのほうが広い。5,000円の差に見合うかは判断が分かれます。 ワイヤレス充電とIP55が必要かどうかが分け目になります。
Bose QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代
30,280円。2025年8月7日発売。7.7gで今回最重量。最大6時間(イマーシブオーディオ off)・4時間(on)、ケース込み24時間。SBC/AAC/aptX Adaptive、IPX4。
遮音性4.90で今回最高(AirPods Pro 3と同値)。そして音質4.59も今回最高です。使い勝手も5.00。検証スコアでは最上位に位置します。
一方で数字が示す弱点もはっきりしています。最大6時間は今回最短で、5,990円のP31i(ANCオン8時間)より2時間短い。イマーシブオーディオを使うと4時間まで落ちます。7.7gは最軽量のP31i(4.4g)の1.75倍です。防水はIPX4で、今回では最も低い等級になります。
つまりこの製品が明確に勝っているのは音質であり、遮音性はP31iとの差が0.06ポイントです。音質に29,000円を払う価値があるかどうかという判断になります。長時間の装着や運動用途には、電池と重量の数字が向いていません。
Apple AirPods Pro 3
35,839円(調査時点の最安値)。2025年9月19日発売。5.55g、ANCオンで最大8時間・ヒアリング補助時10時間、ケース込み24時間。AAC/SBC、IP57で今回最高の防水防塵等級。Bluetooth 5.3。
遮音性4.90でBoseと並ぶ最高値。Appleは「AirPods Pro 2比で最大2倍のノイズ低減」と表記しています。音質は4.50でBose(4.59)に次ぐ位置です。
数字の上での弱点は2つあります。ひとつは対応コーデックがAACとSBCのみで、9,990円のEarFun Air Pro 4より狭いこと。LDACやaptXには対応しません。もうひとつは使い勝手スコア4.65が今回最下位だったことです。
心拍センサーやライブ翻訳といったiPhone連携の機能があり、Apple製品を使っているかどうかで評価が変わる製品です。IP57は汗や雨に対して今回で最も強く、運動用途では意味を持ちます。
iPhoneを使っていて、遮音性と防水を両方最上位にしたい場合の選択肢です。逆にAndroidならコーデックの制約が効いてくるため、優先度は下がります。
レビューで多かった不満と、その対処
思ったほど静かにならない。 最も多い声で、原因の多くはイヤーピースです。前述のとおりPNC(物理的な密閉)が働かないとANCの効果も落ちます。付属サイズを左右それぞれ試すこと、必要なら別売のイヤーピースに替えることで改善する場合があります。機種を買い替える前にここを試してください。
人の話し声が消えない。 これは製品の問題ではなく原理の問題です。ANCは低く連続した音に効き、不規則で高い音には効きません。カフェの会話が気になる場合は、ノイズキャンセリングではなく音楽やホワイトノイズで覆うほうが実効的です。
電池が思ったより持たない。 表記は多くの場合ANCオフの値です。ANCをオンにすると2〜3.5時間短くなります。Boseはイマーシブオーディオをオンにすると4時間まで落ちます。使う設定での数値を見てください。
耳が痛くなる、落ちる。 重量とイヤーピースの両方が関係します。7.7gのBoseと4.4gのP31iでは装着感が違います。長時間つけるなら軽い製品が有利です。
期待した音質ではなかった。 3,000円台の音質スコアは3.60です。これは「悪い」ではなく「この価格帯の水準」という意味です。音質を求めるなら1万円以上の帯に上げる必要があります。
状況別のおすすめ
静かさが目的、予算は抑えたい。 Anker Soundcore P31i です。5,990円で遮音性4.84。3万円台の製品との差は0.06ポイントでした。片耳4.4gで今回最軽量、ANCオンで8時間。この記事の要点をそのまま体現する選択です。
とにかく安く済ませたい。 Xiaomi REDMI Buds 8 Lite です。3,280円で遮音性4.69。4.5以上のグループに入っており、電車の走行音を平均20dB前後低減する水準です。音質3.60は割り切ってください。
1万円以下で音質とコーデックも欲しい。 EarFun Air Pro 4 です。9,990円でLDACとaptX Losslessの両方に対応し、コーデックの対応範囲は3万円台を上回ります。使い勝手スコアは満点の5.00でした。
音質を最優先したい。 Bose QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代 です。音質4.59・遮音性4.90でどちらも今回最高。ただし最大6時間・7.7g・IPX4という数字は受け入れる必要があります。
iPhoneユーザーで、防水も重視したい。 Apple AirPods Pro 3 です。遮音性4.90とIP57はいずれも今回最高。ただしコーデックはAAC/SBCのみで、Androidでは利点が減ります。
バランス重視で1万円台。 Anker Soundcore Liberty 5 です。遮音性4.81・音質4.15・使い勝手4.85と全項目が平均以上。LDAC対応とワイヤレス充電が付きます。
買ったあと、最初にやること
イヤーピースを全サイズ試す。 これが最も効きます。付属のS/M/Lを実際に付け替えて、ANCをオンにした状態で静かさを比べてください。 左右で最適サイズが違うこともあります。この作業をしないと、製品の性能の一部しか使えません。
ANCオンでの電池を実測する。 カタログ値はANCオフが基準になっていることが多いです。自分の使い方で何時間持つかを一度測っておくと、外出時に慌てません。
アプリでイコライザーと外音取り込みを設定する。 AnkerとEarFunは専用アプリでの調整幅が広いです。音質スコアが3点台の製品でも、イコライザーで好みに近づけられる場合があります。
マルチポイント接続を設定する。 今回の多くの機種が対応しています。PCとスマートフォンの両方につないでおくと、着信のたびに切り替える手間がなくなります。
装着検出とタッチ操作を確認する。 誤操作で音楽が止まる、外しても再生が続くといった不満は、設定で解決することが多いです。買った日に一度触っておくと後が楽になります。

コメント